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当科では脳動脈瘤、脳腫瘍、脳血管障害、神経外傷など脳神経外科疾患全般を担当しており、外科的手術・血管内手術・内視鏡手術・放射線治療など、あらゆる手段を用いて“脳脊髄を守る”をモットーに診療しています。手術件数も増加しており、2017年は742例を数えました。
脳梗塞・くも膜下出血・脳内出血といった脳卒中と、未破裂脳動脈瘤、頚動脈狭窄症、もやもや病、脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻、海綿状血管腫など、すべての脳血管障害の外科的治療に対応しています。当科では体に優しい手術を優先しており、7名の脳血管治療専門医(うち2名は指導医)が24時間体制で対応しています。また、未破裂脳動脈瘤の治療や超急性期脳梗塞に対するカテーテル治療は、国内トップレベルの経験を有しています。特に大型脳動脈瘤に対するフローダイバーター留置術を積極的に行っており、広く国内から患者さんが来院しています。
術中ナビゲーションおよび神経モニタリングを駆使し、髄膜腫などの良性腫瘍や膠芽腫・転移性脳腫瘍などの悪性腫瘍の安全な手術を心がけています。また悪性腫瘍に対する化学療法や放射線治療の後療法にも力を入れています。
下垂体腫瘍(下垂体腺腫・頭蓋咽頭腫・ラトケ嚢胞など)に対する経蝶形骨洞手術では全例で鼻腔からの内視鏡単独手術を行っており、非常に良好な治療成績を修めています。また、成人成長ホルモン欠損症に対する補充療法も行っています。
変形性脊椎症・椎間板ヘルニア・脊髄腫瘍・脊髄動静脈奇形など、頚椎から腰仙椎までのほとんどの疾患の外科的治療に対応しています。低侵襲脊椎脊髄手術を念頭に置いて、経皮的内視鏡を用いた椎間板摘出術の導入や高性能顕微鏡下の小切開での手術など、患者さんの早期社会復帰を心がけています。
脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫・先天性水頭症等の先天性疾患、小児血管障害(もやもや病など)、脳腫瘍、頭部外傷を対象とした小児脳神経外科診療を開始しました。産婦人科、小児科、小児外科などと連携し、小児の脳と脊髄を守ります。
当院の救急救命センターと連携して重症頭部・脊髄外傷の外科的治療および集学的治療を行っています。
脳血管障害 | 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、未破裂脳動脈瘤、もやもや病、脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻、海綿状血管腫、他 |
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脳腫瘍 | 転移性脳腫瘍、悪性脳腫瘍、髄膜腫、聴神経鞘腫、下垂体腺腫、他 |
脊髄疾患 | 頸椎症、後縦靱帯骨化症、腰椎ヘルニア、腰椎すべり症、脊髄血管障害、脊髄腫瘍、他 |
小児神経外科 | 脊髄髄膜瘤、脊髄脂肪腫、先天性水頭症、もやもや病、頭蓋縫合早期癒合症、他 |
頭部外傷 | 外傷性頭蓋内出血、急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫、慢性硬膜下血腫、他 |
機能性疾患 | 三叉神経痛、半側顔面痙攣、本態性振戦、ジストニア、他 |
水頭症 | 中脳水道狭窄症、正常圧水頭症、他 |
感染性疾患 | 髄膜炎、脳膿瘍、硬膜外膿瘍、硬膜下膿瘍、他 |
脳の血管異常によって引き起こされる疾患を総称して脳血管障害と言います。
そのうち急に発症するものを脳卒中と呼び、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血の3つが含まれます。
他の代表的な疾患としては、未破裂脳動脈瘤、頚動脈狭窄症、もやもや病、脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻などがあります。
一旦発症すると約20~30%程度しか社会復帰できない恐い病気で、そのほとんどは脳の動脈にできたコブ(脳動脈瘤)が破れることによって起こります。くも膜下出血は以下の3つの病態を来すため、それぞれに対する処置が必要です。
動脈瘤は一旦破裂すると再破裂を起こしやすくなります。過去の統計によると3ヵ月以内に約半数の方が再破裂を来たし、予後不良となります。このため再破裂の予防は必須です。患者さんが病院に運ばれた後、検査で脳動脈瘤が原因と判断された場合には、手術を行います。手術には開頭手術と血管内手術の2通りがあり、比較研究の結果、血管内手術の方が治療成績が良いことが報告されています。このため当科でも血管内手術を第一選択としていますが、開頭手術を要する場合もあります。
くも膜下出血を発症後、4日から14日までの間は脳の血管が縮む脳血管攣縮(のうけっかんれんしゅく)を来します。重度になると脳の血が足りなくなって脳梗塞を起こしてしまうため、点滴やカテーテル治療で血管を広げる処置を行います。
くも膜下出血の後、1ヶ月前後すると脳の中に水がたまる水頭症を起こすことがあります。生命には関わりがありませんが、物覚えが悪くなってぼーっとしたり、尿失禁、歩行障害なども伴います。このため脳室腹腔短絡術(シャント手術)を行います。水の流れが良くなると症状は改善します。
脳の血管がつまることで脳が障害される病気です。以前は発症すると治療法がありませんでしたが、現在は発症から4.5時間以内なら血栓を溶かす点滴(tPA)が使用可能です。ただしこの薬が使える人は全体の5%以下とされており、投与できても効果がない人の方が多いことが分かってきています。
当科ではこのような方にカテーテルで詰まったところを通す治療(血管内治療)を行っており、良好な成績を得ています。関連施設から転送して治療を行う連携システムも構築しており、本治療では全国トップレベルの症例数を誇っています。
一方、脳血管が詰まっても無症状または軽症で済むことがあります。しかし脳の血のめぐり(脳血流)が悪い場合には、脳梗塞を再発する可能性があります。
このような場合には皮膚の血管を脳の表面につなぐ手術(バイパス手術)が有効です。また脳の深い部分へのバイパスや太い血管を用いるハイフローバイパスまで、あらゆるバイパス手術が可能です。
脳内の細い血管が切れて出血する病気です。軽症の場合には点滴などによる治療が行われますが、出血が大きく重症の場合には、出血を取り除く手術が行われます。
開頭による手術が行われることもありますが、当科では神経内視鏡技術認定医が3名常駐しており、小さな傷から内視鏡などを用いて血液を取り除く手術(血腫除去術)を行っています。
脳の血管がふくらんでいることを指します。破裂すると、くも膜下出血を起こします(前述)。脳動脈瘤の診断率は高く、40歳以上の方の3~5%に見つかるとされています。注意すべきなのは通常は自覚症状が全くなく、脳動脈瘤が破れてはじめて頭痛や意識障害を起こすことです。従って、脳ドックなどでMRIを受けるなどして、自分が脳動脈瘤を持っているかどうか調べておくことが重要です。
一般的に動脈瘤の破裂率は年間1%程度と言われています。ただし大きいものや、前交通動脈瘤、脳底動脈瘤などは破裂率が高いので注意が必要です。脳動脈瘤の破裂予防に有効な薬はなく、予防には手術が必要です。開頭して動脈瘤の根元にクリップをかける「クリッピング術」と、足の付け根から管を入れてコイル(金属の糸のようなもの)を動脈瘤に詰める「血管内手術(コイル塞栓術)」の2通りの手術法があり、動脈瘤の形や部位、年齢などを総合的に判断して選択されます。
2013年9月より当科に赴任した吉村主任教授は日本脳神経血管内治療学会指導医で、切る治療と切らない治療の両方を行っており、これまで1,500例以上の脳動脈瘤治療を経験しています。このため、全国から患者さんの受診が増加し、脳動脈瘤治療も急増しています。また当科には他に専門医3名が常駐しているためチーム医療を行っています。
脳に血液を送る頚動脈(けいどうみゃく)が細くなっていることを指します。軽度の場合には内服治療で十分ですが、狭窄が高度の場合には脳梗塞を起こす危険性が高いため、細いところを太くする治療が必要です。切る手術と切らない手術の2通りがあり、切る手術は分厚くなった血管の壁を取り出す頚動脈内膜はくり術、切らない手術は細くなったところを風船とステントという金属メッシュで広げる頚動脈ステント留置術です。
当科では術前の精密検査で詳細に検討し、より安全な治療をお勧めしています。
脳の血管が徐々に細くなったり、つまったりする病気です。血流不足を代償するため細い動脈が太くなり、脳血管撮影で煙がもやもやと立ち昇る様子に似ているため「もやもや病」と呼ばれています。子供と大人の両方がかかる病気で、日本人に多い病気です。脳の血流が足りなくなって脳梗塞を起こしたり、もやもや血管が破綻することで脳出血を起こします。子供は脳梗塞が多く、大人は脳梗塞と脳出血が半々程度に起きるとされています。
脳梗塞、脳出血ともに予防にはバイパス手術が有効です。皮膚の血管を脳の表面の血管に直接つなぐ「直接バイパス」が主体ですが、脳を包んでいる膜(硬膜)や側頭部の筋肉などを脳の表面に置き、術後に徐々に小さな血管のつながりが形成されるのを待つ「間接バイパス」もあります。当科では直接バイパスと間接バイパスと組み合わせて効果的な治療を行っています。
脳の動脈と静脈が直接つながってしまっている病気で、出血やけいれんを起こします。最近ではMRIなどの検査で偶然発見されることが多くなっています。出血率は年間3%、出血してから1年間は6%と言われています。治療法には以下のようなものがあります。
最も確実な治療法ですが、脳動静脈奇形は脳内に存在するため脳を全く壊さずに手術を行うことは不可能です。このため脳の重要な部分に接している場合には治療合併症が多くなり、場所によっては治療不可能ということもあります。また一般的に脳動静脈奇形の手術には高度な技術を要することが知られています。
低侵襲な治療ですが、この治療単独で完全治癒させることは困難なことが多く、主に手術や放射線治療の前処置として行われます。
頭にフレームなどをつけて固定し、狙った部位だけに多方向から集中的に放射線を当てる方法です。直径3センチ以下の病変であれば高い確率で治癒しますが、それより大きいものでは治癒率が低下します。一般に放射線治療後、治癒までには3年前後を要します。
当科ではそれぞれの患者さんに合わせて最適な治療法をお勧めしており、血管内手術と放射線治療または開頭手術との組み合わせをよく行っています。
硬膜(脳を包む膜)の動脈と静脈がつながってしまっている病気です。おもに目の症状(眼球突出や充血)や耳鳴りで発症しますが、中には脳出血を起こすケースもあるため注意が必要です。
治療としては無症状または軽症の場合は経過観察、症状が強い場合や脳出血リスクの高い場合には血管内手術を行います。血管内手術だけで完全治癒が得られない場合には放射線治療など、他の治療を組み合わせることもあります。
「脳の中に紛れ込んだ血管成分」であり、一般の腫瘍のように細胞が分裂して大きくなったり、悪性化することはありません。
最近はCTやMRIで無症状のものが診断されることが多くなりましたが、画像上は小出血を繰り返すことが多いのが特徴で、場所が運動野や言語野の近くの場合にはマヒや言語障害が出ることがあります。偶然発見されたものには通常治療の必要はありませんが、出血を繰り返したり、薬剤抵抗性てんかんの原因となっている場合には手術適応となる場合があります。
開頭手術で血管腫を取り除くことが根本治療となりますが、それほどリスクの高いものではありません。しかし運動野や脳幹部の病変は手術リスクが高いため、治療をするかどうか専門医とよく相談する必要があります。放射線治療(定位放射線)が有効であったとする報告もありますが、病状を悪化させるとの報告もあり、賛否両論です。
頭蓋内に発生する腫瘍を脳腫瘍といいます。頭蓋内に存在するあらゆる組織から発生します。腫瘍と言っても全てががんのように悪性ではなく、約半数は良性です。腫瘍の発生した部位により、さまざまな症状が起こります。
発生頻度は10万人あたり13人で、女性にやや多く発生します。原発性脳腫瘍が脳腫瘍全体の約80%、転移性脳腫瘍が約20%を占めます。
原発性脳腫瘍では神経膠腫(グリオーマ)が最多で、その他、髄膜腫、下垂体腺腫、神経鞘腫が多いとされています。神経膠腫はさらに細分類され、膠芽腫、星細胞腫、悪性星細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫の順に多いとされています。
神経膠腫は脳実質を構成する膠細胞(グリア)が由来で、髄膜腫は脳を包む構造であるクモ膜の細胞から、下垂体腺腫はホルモン分泌組織である下垂体の前葉細胞から、神経鞘腫は神経をコーティングする鞘細胞(シュワン細胞)からそれぞれ発生します。
神経膠腫で代表される脳実質から発生する腫瘍は悪性(浸潤性)であることが多く、一方髄膜腫、下垂体腺腫、神経鞘腫で代表される脳実質外から発生する腫瘍は悪性(浸潤性)であることが多く、一方髄膜腫、下垂体腺腫、神経鞘腫で代表される脳実質外から発生する腫瘍は良性(圧排性)が多い傾向にあります。
転移性脳腫瘍の原因となる他の臓器のがんでは肺がんが最多(50%)で乳がん(10%)、直腸がん(5%)、腎がん、胃がんの順に多いとされています。
脳は周りを頭蓋骨で包まれています。このため脳腫瘍自体や、周囲の脳の腫れなどにより頭蓋内の圧があがり、頭痛、嘔吐などが起こります。これらの症状を「頭蓋内圧亢進症状」と言います。
一方、脳腫瘍が周囲の脳に浸潤したり圧迫することで、脳機能が損なわれるのが「脳局所症状」です。脳腫瘍の発生部位により、下記のような症状が表れます。
腫瘍の発生部位 | 症状 |
---|---|
大脳半球 | てんかん発作、失語、感覚障害、視野障害、片麻痺など |
小脳 | 四肢や体感の失調(ふらつきなど) |
視床下部・下垂体・視交叉 | 内分泌障害(ホルモンバランスの異常)、視力障害、視野障害 |
脳幹 | 構音障害(しゃべりにくさ)、嚥下障害、眼球運動障害など |
脳腫瘍が疑われた場合、次の検査を行います。
詳しい画像が得られるため、脳腫瘍の診断には必須です。撮影時間は比較的長く、数分から数十分かかりますが、放射線被曝はありません。
撮影は短時間(数秒から数分)で済み、出血などの診断にはMRIよりも優れています。
カテーテルを用いて脳の血管を評価します。腫瘍周囲の血管走行や血管増生の程度を手術前に評価します。
血流や代謝を測定することで腫瘍の悪性度等を判定します。その他、神経心理検査など高次脳機能検査も行います。
術前の画像診断にて腫瘍のタイプを予測してから手術を行うことが一般的です。腫瘍の種類や発生部位、大きさなどに合わせて手術方法を決定します。
良性脳腫瘍は全摘出できれば治癒が可能です。一方、悪性脳腫瘍の多くは全摘出困難ですが、摘出率が高いほど生存率が高い傾向にあります。周囲の血管や神経などの重要な構造物に腫瘍がくっついていたり、腫瘍が運動野などの重要な働きを持つ部分に接していると全摘出は困難です。このため、部分摘出や、生検(組織を一部取り、細胞を調べる)にとどめます。
当院では手術の際にナビゲーションシステムや電気的モニタリングを用いて安全な手術を行っています。また、下垂体腫瘍などには鼻から内視鏡を用いて腫瘍を摘出しており、体に優しい低侵襲手術として注目されています。
悪性腫瘍では術後に化学療法や放射線治療を行うことが一般的です。
化学療法としては膠芽腫や悪性神経膠腫にはテモゾロミド(経口・静注)、悪性リンパ腫ではメトトレキセート(静注)を使うのが一般的です。
放射線治療は大きく分けて2通りあります。リニアックという装置を用い腫瘍を含む広範囲に放射線を照射する方法とガンマナイフや定位リニアック(サイバーナイフやノバリス)を用い低線量の放射線を多方向から集中照射する方法です。それぞれ適応疾患が異なり、症例に合わせて用いています。
疾患名 | 手術件数 |
---|---|
下垂体腺腫(内視鏡) | 34例 |
髄膜腫 | 16例 |
神経膠腫(膠芽腫、悪性神経膠腫他) | 12例 |
転移性脳腫瘍 | 11例 |
悪性リンパ腫 | 6例 |
脊髄腫瘍(髄膜腫、膠芽腫他) | 6例 |
神経鞘腫(三叉神経鞘腫、聴神経鞘腫) | 5例 |
胚細胞性腫瘍 | 4例 |
松果体部腫瘍 | 3例 |
頭蓋咽頭腫 | 3例 |
その他 | 6例 |
計 | 106例 |
当科では、脊椎脊髄疾患についても積極的に取り組んでいます。従来の脊髄腫瘍などに加え、頚椎、腰椎の変性疾患を中心に、脊椎・脊髄疾患につき幅広い症例の手術をほぼ毎週行うようになってきました。
首や腰が痛い、手足がしびれる、手が動きにくい近所のお医者さんや整骨院などに通ってもよくならない、原因を知りたいなど、どんなことでもかまいません、まず外来受診してみましょう。
初診受付で「脳神経外科の脊椎外来」とお伝えください。紹介状は用意していただけるようであればお持ちください。無くてもかまいません。
症状をお聞きした後、簡単な診察とレントゲンを撮影します。そしてCT,MRIなど、詳細な検査に移っていきます。また、症状に応じ、内服治療を開始します。関係各科とも連携をとりながら原因となる疾患を探していきましょう。
患者さんの症状がレントゲンやMRIの所見と相関がある場合に手術を行います。画像所見が陽性であっても、患者さんの症状と関係なかったり、患者さんが手術を希望されない場合には外来にて経過観察とします。画像所見を直すのでなく、いかに症状を取り除き、日常生活や、職業復帰できるかを目指しております。
低侵襲脊椎脊髄手術を常に念頭に置いて手術を行っています。全症例最新の手術用顕微鏡を使用し、顕微鏡操作に習熟した術者が安全で効果的な手術を心がけています。
短期入院、早期に社会復帰できるよう、患者さんごとに術式を考えます。
また、症例にもよりますが、髪の毛を剃らない無剃毛手術、腰椎椎間板ヘルニアに対するPELD(Percutaneous endoscopic lumbar discectomy)という径7mmの内視鏡を用いた経皮的に髄核、ヘルニアを摘出する術式、腰椎圧迫骨折に対するBKP(Balloon Kyphoplasty)バルーンによる椎体形成、腰椎すべり症に用いる経皮的椎弓根スクリュウなど、最新の治療法も取り入れてます。
これらの手技や器具は年々変化があり、習熟するために学会の出席や国内多施設との交流、海外研修なども積極的に参加しております。
頚椎によく見られる疾患に 頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアがあります。首、肩のこり、肩甲骨周囲の痛み、手足のしびれ等で発症し、徐々にものを落としやすくなる、お箸が使いにくくなる、階段を下りるのが難しいという症状に増悪していきます。脊髄や、そこから手足に分岐する神経根の圧迫される部位により症状は異なります。
頚椎の老化や変性が原因で引き起こされます。骨がだんだんと変形し、骨棘という突起ができたり靱帯が厚くなったりします。それらが脊髄や神経根を圧迫、刺激ししびれ、痛み脱力などの症状を発生させるのです。
骨と骨の間での組織が飛び出し脊髄や神経根を圧迫することで症状を発症します。老化によることが多いですが、若くてもスポーツや交通事故などの外傷が原因となります。
後縦靱帯が骨化、肥厚し、脊髄が圧迫されることにより手足の運動障害が起こる疾患です。箸が使えなくなったり階段が上り下りしにくいといった症状が生じます。後縦靱帯骨化症は長い間症状がないまま経過することも多いのですが、ちょっとした転倒や交通事故をきっかけに急激に症状が増悪することもあるので注意が必要です。
腰椎疾患の代表は椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄、すべり症でしょう。脊椎にはたくさんの椎体という骨があり椎間板を挟んで並んでいます。背骨は建物にたとえると柱の役目を果たしています。建物と違うのは曲がったりひねったりできると言うこと。この作用は椎間関節が果たしています。肘や肩の関節は一つの関節で大きく曲げ伸ばしできますが、背骨はたくさんの椎間関節が少しずつずれたり曲がったりすることで体幹を支えつつ、動かしています。その動かす機構の障害、椎間板が飛び出してヘルニアをおこしたり、椎間関節やその間にある靱帯が肥厚したりずれたりすることにより神経を圧迫し病態を生じます。
加齢性変化により靱帯や関節が痛んで肥厚し、脊柱管と言われる脊髄の入っているところが狭窄、河岸に分岐する神経が圧迫され足のしびれ、疼痛、更に歩行障害を生じます。この疾患による歩行障害として特徴的な間欠性跛行(かんけつせいはこう)があります。しばらく歩いていると足に痛みやしびれを感じ、歩き続けることが困難となる。しかし、少し休むとまた歩けるようになる症状のことです。閉塞性動脈硬化症という血管性の病気でも同様の症状を示しますが、腰椎脊柱管狭窄による間欠性跛行を示す方は、「自転車ならいくらでも乗れます」とおっしゃる患者さんが多くみられます。姿勢による症状の変動があるのが腰の病気、関係なく起こるのが血管の病気であることが多いのです。
椎間関節がいたんでしまい上下の椎体がずれてしまった疾患です。椎体が滑ったことで脊柱管狭窄を起こします。強い腰痛や、歩行障害を生じます。荷重のかかり方や姿勢によって関節のズレが大きくなったり不安定な患者さんには固定術が効果的です。
椎体と椎体の間のクッションの役目を果たす椎間板が、加齢により弾性が失われたり、スポーツなどで強く圧力がかかることにより後方に飛び出し、馬尾神経や神経根を圧迫します。急に起こる激しい腰痛や下肢の痛み、下肢の筋力低下が主な症状です。顕微鏡や内視鏡を用いて神経を圧迫している椎間板を摘出しましょう。
これまで頚椎、腰椎の比較的一般的な脊椎変性疾患の説明をしてきました。外来ではこれらの疾患の神経学的検査、レントゲン、MRIといった画像検査をすすめ、診断。関係各科と連携し関係類似疾患を鑑別、そして一定期間の内服などの治療を経て、手術を考慮します。
脊椎変性疾患の手術は、除圧術と呼ばれる脊髄や神経根への圧迫を骨や靱帯を削ることによりとってしまう手術と、ケージと呼ばれる人工骨やスクリュウなどを用いてズレや不安定な動きを止めてしまう固定術があります。
器具の目立つ手術ですが、神経の除圧を顕微鏡にて安全かつ確実に行うことがもっとも大事で、固定は、ハイブリッド手術室を使用しての最新の透視装置を用いて確実な手術を行うよう心がけてます。
当院は大学病院であり、脊髄腫瘍や血管障害、奇形など、比較的珍しい疾患も近隣病院よりご紹介を受けることが多く、治療実績も十分にあります。
脊髄腫瘍はその発生場所により、硬膜外腫瘍、硬膜内髄外腫瘍、髄内腫瘍と分けられます。腫瘍がみられた場合はためらいなく摘出するようにしましょう。摘出をすることでその腫瘍の悪性度や腫瘍の種類の確定ができます。腫瘍の種類により、良性腫瘍は摘出すればよいのですが、悪性の場合後療法として放射線や化学療法を追加することも必要です。
また、腫瘍と脊髄変性は鑑別も難しいので、神経内科など関係各科と連携し治療に当たります。また、術後、専門的なリハビリテーションが必要です。術後早期リハビリは当院で行い、脊髄腫瘍術後のリハビリ経験の多い回復期リハビリテーション病院にご紹介します。
脊髄血管障害には脊髄動静脈奇形、脊髄動静脈瘻、脊髄梗塞、脊髄出血などがあります。
脊髄動静脈奇形は脊髄内に動脈と静脈が異常血管で結ばれてしまう疾患で脊髄内での出血を生じ、重篤な症状を引き起こすことがあります。この疾患は現在の私たちの力が及ばないことも多く、内科的治療で脊髄の腫れを抑え、リハビリテーションを勧めることになります。
これに対し脊髄動静脈瘻は治療可能な疾患です。脊髄周囲を覆う硬膜を境にして、動脈と静脈が直接つながってしまうことで静脈側に血流が逆流し、その結果脊髄が腫れる病気です。徐々に進行する歩行障害が主な症状です。しかし、この疾患は診断が難しく、「歩きにくくなったので、近所のお医者さんから著明な病院までいくつも回っても、異常がないと言われる、診断がつかない、薬も効かない」といったことがよく見られます。
進行性の両下肢運動障害を認めるなら一度は疑ってもよい疾患です。当院では、MRIで診断、CTと血管撮影にて術式を考えます。血管内手術にするか、手術にて血管を処理するか、当科の血管障害班と脊髄班で十分に検討し手術します。両方の手術術式の良いところを組み合わせたハイブリッド手術も行ってきました。術中血管撮影、色素を用いた血管の描出なども含め、当院が誇る強力な血管チームとタッグを組んで治療にあたります。
キアリ奇形は脳の一番下にある小脳扁桃という部分が脊髄腔に落ち込み、脊髄周囲の脳脊髄液の環流が悪くなることで脊髄内に脳脊髄液がはいりこんでしまう脊髄空洞症という疾患を合併します。
この結果両手のしびれ、感覚障害、上下肢の運動障害、体感の疼痛など多彩な症状を生じます。診断はMRIで容易につきます。徐々に進行することも多いので、何らかの症状がある方は手術を勧めています。
以上のように当院で治療している主な疾患について述べてきました。 患者さんとの信頼関係が得られるような、丁寧な説明、外来、安全かつ有用な術式の選択、最新の検査・手術器具の使用、常に最新の治療を提供できるような(必ずしも最新=最良ではありませんが・・・)準備を整えること。当院脳神経外科脊髄班の心がけていることであります。
頭部を打撲後、以下の症状があるときは、頭の中の出血や脳の感染症の可能性があります。
以下、詳しく説明します。
急性硬膜下血腫は、強い頭部への衝撃によって硬膜(脳を包む硬い膜)の下に出血する病態です。軽症の場合には自然治癒することもありますが、重傷の場合には早期の診断と手術(開頭血腫除去術)が行われます。
外傷によって頭蓋骨と硬膜の間に出血する病態です。頭蓋骨骨折によって硬膜の動脈や太い静脈が傷つくことが原因とされています。受傷直後は症状がなく、少し経過してから意識障害や麻痺などが出現します。出血量が多い場合は開頭血腫除去術が必要です。早期に治療されると経過が良いのが特徴です。
脳そのものが損傷を受けた状態を脳挫傷、脳内に出血等を認める状態を外傷性脳内出血と言います。基本的には安静と点滴などで様子を見ますが、脳の腫れや出血が高度で、頭の中の圧力が上昇した場合には開頭手術を行い、血腫除去や圧力を逃がす手術(減圧術)が行われます。
受傷後、少し時間が経ってから徐々に硬膜下に血液がたまる病態です。受傷から3週間以上経ってから徐々に頭痛、言語障害、麻痺や歩行障害などが出現することが多く、認知症様症状で診断される場合もあります。中高年の人やお酒をたくさん飲む人に多いと言われています。
頭部CTやMRIで診断し、脳の圧迫が強ければ、なるべく早く手術を行う必要があります。
手術は局所麻酔で小さな傷(3センチ前後)で可能です。血液がたまっている部分に合わせて頭蓋骨に1センチ前後の小さな穴を開け、血液を抜いて中を洗います。9割近くの患者さんはそれで治癒しますが、再発を起こす場合もあります。
脳の底の部分(頭蓋底)の骨は脳の空間と、鼻・耳の空間を間仕切りしています。 したがってこの部分を骨折(右図:細矢印)すると、脳と鼻・耳の空間が交通してしまい、脳の水(脳脊髄液)が漏れてしまいます。その場合には脳の圧が下がって頭痛や吐き気を起こしますし、鼻・耳の菌が脳に侵入して髄膜炎を起こすため、危険です。
安静にして、抗生物質の投与が必要です。それでも髄液漏れが止まらない場合は手術が必要な場合もあります。自宅での治療は難しいので、入院治療となります。比較的強い頭部打撲の後、さらさらした鼻水や耳からの液体が観察される場合は、すぐに病院を受診する必要があります。
小児の頭部外傷を評価するためには、頭部X線や頭部CTを行うことが多いのですが、これらの検査は放射線を使う検査ですので被曝量の問題があり、配慮が必要です。従って、けがの状況や本人の様子などを総合的に評価し、画像検査を行わずに様子を見る場合もあります。
通常、脳と脊髄は周りの空間から簡単に異物が入ってこないように、頭蓋骨や髄膜で強固に隔てられていますが、けがをした時や体調が悪い時に、鼻・耳・のどの空間から直接、または血流に乗って細菌やウイルス、真菌(カビ)や寄生虫などが運ばれてきて脳や脊髄に炎症を起こすことがあります。細菌による感染症で急激に病状が悪化し、死に至ることもありますので注意が必要です。
菌が脳脊髄液に入り炎症を起こした状態です。治療は抗生物質の髄腔内投与や点滴を行いますが、治療が遅れると死亡率が高く、後遺症が残る恐れもあります。
菌が硬膜下・硬膜外に入り、膿がたまった状態です。治療は、膿瘍(膿のたまり)を排出する必要があります。このために手術を必要とします。治療が遅れると脳に炎症が及び、極めて重篤な状態に陥ります。
菌が脳に入り、脳内に膿がたまった状態です。治療は、抗生物質の投与が第一選択ですが、治癒しない場合には、手術で膿を排出します。膿瘍が小さい場合は後遺症を残さず軽快することも多いのですが、治療が遅れると重篤な状態に陥ります。そのため早く治療を開始することが重要です。
脳神経外科の一分野。神経細胞、神経線維、脊髄、末梢神経などの神経組織に対して直接手術操作を行い、患者さんが困っている症状の緩和を目的とします。
機能的脳神経外科で扱う疾患は、通常の内科的治療では緩和できないような痛み、不随意運動、てんかんなどです。
対象とする疾患
三叉神経の各分枝に突発的に激痛が走り、数秒後には消失します。このような発作は誘因無く起こる事もあり、三叉神経の誘発帯(trigger zone)への刺激でも起こります。そのため患者さんは顔を洗う、歯みがきをする、食事をする、話す、化粧をするといった行為が不自由となります。
原因は主に三叉神経根部を血管(動脈であることが多い)が圧迫することにより、この部位は中枢神経から末梢神経への移行部であり最も脆弱な部分です。この部位の分節的脱髄により起こると言われています。
治療は薬剤療法、手術療法、放射線療法、ブロック療法などが上げられます。
第一選択は主にカルバマゼピンといった抗けいれん剤を用いる投薬療法です。薬剤の効果は90%以上で認められますが、薬効の減弱、めまい、ふらつき、嘔気といった副作用で投薬を中止することがあります。
投薬治療が無効あるいは中断した場合、次に行われるのが手術治療です。神経血管減圧術が主に行われます。
その他の治療として最近では定位的放射線手術も行われており有効とされています。
半側顔面けいれんとは、顔の片側の筋肉がぴくぴくとけいれんする病気です。多くは中年以降に出現し女性に多い病気です。典型的には、まぶたの下のぴくつきから始まり、数年の経過で、徐々に顔の片側全体に拡がることが多いといわれています。症状は緊張、疲労、ストレス等で増悪することが多く、ひどい場合には、けいれんのために目が閉じてしまって、ものが見にくいという場合もあります。
治療は薬剤療法、手術療法、ボツリヌス毒素局所注射療法があります。
薬剤療法は抗けいれん薬を用いますが三叉神経痛とは異なり明確に効果を認める薬剤はありません。
手術療法は三叉神経痛と同様に神経血管減圧術が行われます。重篤な合併症として聴力障害、顔面神経麻痺があります。
ボツリヌス毒素の局所注射は、比較的最近行なわれ始めた治療法です。ボツリヌス毒素は、そもそも食中毒の原因になるボツリヌス菌が産生する毒素で、筋肉を麻痺させる働きを持ちます。この毒素を痙攣を起こしている顔面の筋肉に注射することによって、痙攣を抑えます。有効率は高く合併症の危険性も比較的低いと考えられますが、効果が一過性である点と治療費が高くつく点が問題と言えます。
難治性の不随意運動をきたす疾患の内、脳神経外科が扱う疾患としてパーキンソン病、本態性振戦、ジストニア(痙性斜頸を含む)が挙げられます。
脳神経に明らかな異常を認めず、原因が不明でありその他に神経学的異常を伴わない振戦です。通常は姿勢時振戦であり、何らかの動作を行うときに起こります。精神的緊張や肉体疲労などにより悪化します。薬物治療としてβブロッカーが用いられます。薬物にて改善を認められない場合、視床破壊術や視床刺激術を行うことがあります。
“持続的な筋緊張によりしばしば捻転性または反復性の運動や異常な姿勢を取る症候群”と定義されています。全身性ジストニア、局所性ジストニアに大きく分類され、局所性には痙性斜頸や書痙も含まれます。ボツリヌス毒素を筋注する治療は一定の効果を上げています。また、全身性および局所性のジストニアに対して両側淡蒼球内節や視床への脳深部刺激療法が行われており、その効果を認めています。
脳血管内治療は、局所麻酔で行えるため、通常の開頭術に比べて体への負担が少ない治療法です。従って高齢の方や、他の病気を合併している患者さん、あるいは開頭術が難しい場合にも応用可能です。
当院には、日本脳神経血管内治療学会の指導医である吉村紳一教授のほか、3名の日本脳神経血管内治療学会の専門医が在籍しております。
ご自身やご家族が抱えている病気や手術について、疑問のある方や相談されたい方は、どうぞ遠慮なくご連絡ください。
脳動脈瘤が破裂すると、くも膜下出血を引き起こし、突然死の原因になったり、重篤な後遺症を残したりします。また、脳動静脈奇形・硬膜動静脈瘻は、脳出血やてんかん発作の原因となります。
これらの病気に対する血管内治療は、マイクロカテーテルという細い管を用いて、その病気に応じた様々な塞栓物質(金属コイル、粒子・液体塞栓物質)を血管の異常な部分に詰めることにより治療します。通常の開頭術に比べて体への負担が少ない治療法です。
動脈硬化により頭部や頚部の血管が細くなると、プラーク(粥腫)によって、脳の血管が詰まってしまったり、脳の血液が足りなくなったりすることがあり、脳梗塞の原因となります。
まずは、抗血小板薬(血液をさらさらにする薬)や高血圧、糖尿病、コレステロールの薬などの内科的治療を行いますが、内科的治療のみでは狭窄の進行や脳梗塞の発症が抑えられず、血管を広げる治療が必要となることがあります。
この治療法は、バルーンカテーテルという風船のついた管を用いて血管を広げたり、ステントという金属の筒を用いて血管を広げたりする方法です。
局所麻酔で行うことができますので、心臓の血管が細い方や高齢の方にも安心して治療が行えます。
心房細動という心臓の不整脈が原因で心臓内に血の塊ができ、血流により脳の血管に詰まって脳梗塞を起こしたり、プラークにより太い血管が詰まって脳梗塞を起こしたりすることがあります。これらの脳梗塞は脳の太い動脈が詰まってしまうため、そのままでは重篤な後遺症が残ってしまう可能性が非常に高いといわれています。
脳の血管が詰まってごく早い時間(超急性期)であれば、マイクロカテーテルを使って血の塊を回収したり、溶かしたりして再開通させる治療が有効です。発症から8時間以内であれば、この治療が受けられる可能性があり、治療が成功した場合には劇的な症状の改善が得られます。
その他にも当院では、再発する慢性硬膜下血腫に対して硬膜の血管を詰めることで再発を防ぐ治療や、脳腫瘍の手術による出血を減らすため、手術前に腫瘍を栄養している血管を詰める治療など、さまざまな脳血管内治療を行っています。
幅広い治療が可能ですので、どうぞ遠慮なくご相談ください。
頚動脈狭窄症とは頚部内頚動脈に、通常アテロー厶と呼ばれるコレステロールが沈着した硬化性病変がみられ、狭窄をきたしている状態です。頸動脈内膜剥離術は、このアテロームを頸動脈の内膜とともに除去することにより、脳血流の改善および塞栓源の原因除去を目的としています。
欧米の大規模試験の結果からは、高齢者ほど頸動脈内膜剥離術の効果が高いとされています。
脳動脈瘤が破裂すると、くも膜下出血を引き起こし、突然死の原因になったり、重篤な後遺症を残したりします。また、脳動静脈奇形・硬膜動静脈瘻は、脳出血やてんかん発作の原因となります。
これらの病気に対する血管内治療は、マイクロカテーテルという細い管を用いて、その病気に応じた様々な塞栓物質(金属コイル、粒子・液体塞栓物質)を血管の異常な部分に詰めることにより治療します。通常の開頭術に比べて体への負担が少ない治療法です。
脳動脈瘤を顕微鏡下に直接 観察して処置をする治療法です。脳動脈瘤ネッククリッピング術や脳動脈瘤包埋術などがあります。脳動脈瘤ネッククリッピングとは、脳動脈瘤の ネックとよばれる部位に金属製(現在はチタン製が多くMRI撮影が可能です)のクリップをかけて動脈瘤内への血液流入を遮断する方法です。
経蝶形骨洞手術とは、主にトルコ鞍近傍の腫瘍に対して用いられています。当院では内視鏡を用いて手術を行います。上口唇切開もしくは鼻粘膜切開により鼻中隔粘膜下を剥離し、蝶形骨洞に到達します。蝶形骨洞を通して腫瘍摘出を行う手術法です。
三叉神経痛や半側顔面痙攣に対して行います。耳介後部に約5から7㎝皮膚に切開を入れ開頭します。顕微鏡を用いて、血管等による神経圧迫を解除します。血管や神経を移動したり固定するのにフィブリン糊や医療用スポンジを用います。
水頭症の項をご参照ください。
中脳水道狭窄症や脳腫瘍によって発生する閉塞性水頭症に対し、第3脳室底開窓術を行います。脳室腹腔短絡術に比較し術後の合併症が少なく、シャントチューブといった異物を体内に入れることのない手術です。第3脳室底に瘻孔を作り、脳槽からくも膜穎粒にかけて新たに髄液の流れる道筋を作り、髄液の流れを改善します。
脳深部の腫瘍に対する生検術(組織を採取します)や血腫除去、パーキンソン病や本態性振戦に対する電極埋め込み術などに用います。頭部に四角いチタン製のフレームを固定します。その後、頭部CTまたは頭部MRIを撮影し目標とする部位を計測します。手術室に戻り、頭蓋骨に穿頭し手術を行います
水頭症とは何らかの原因によって髄液の循環・吸収障害が起こり、その結果、脳室の異常拡大が生じたもので、小児・成人を問わずに発生し得る病態です。髄液は体の中で一番きれいな液体で1日に約450mLが産生されます。普通の髄液の総量は大人で約150mL、小児で100mLといわれていますので、髄液は産生から吸収まで一日に約3回程循環して入れ替わっていることになります。
もしこの髄液の循環経路が何かしらの原因で流れが悪くなると、脳室内に髄液が停滞し、脳室が次第に拡大します。拡大した脳室が脳を圧迫することで頭痛・嘔吐・意識障害、歩行障害・認知症・尿失禁など様々な症状があらわれます。
治療は、拡大した脳室にカテーテルを挿入し、髄液を他の体腔に流して脳圧をコントロールするシャント術を行います。シャント術は通常脳室腹腔シャント(V-P shunt)を選択します。その他脳室心房シャント(V-A shunt)、腰椎くも膜下腔腹腔シャント(L-P shunt)、脳室胸腔シャントなどが行われています。
最近当院ではL-Pシャント術が行われることがあります。このような手術は、全身麻酔下で1時間程度を要します。脳外科の中では難易度は高くないもので一般的に行なわれています。これらの治療により、早期から患者さんの症状は改善する場合が多いです。
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